未払いと回収

履行勧告と履行命令とは?家庭裁判所を通じた督促のメリットと限界

「養育費が支払われなくて、どうしたらいいんだろう…」「これからのお金が不安で仕方ない」

もしあなたが今、そんな悩みを抱えているなら、この記事がきっと力になります。お子さんの成長にとって大切な養育費。もし相手からの支払いが滞ってしまったら、どうすればいいか途方に暮れてしまいますよね。

この記事では、養育費の未払いに直面したあなたが、家庭裁判所を通じて養育費を請求するための具体的な方法と、そのメリット・デメリットをわかりやすく解説します。専門用語はできるだけ使わず、あなたの不安を少しでも軽くできるよう、一緒に解決策を探していきます。

まず「養育費の約束が書かれた書類」を確認しよう

養育費の支払いが滞ってしまったら、まずは冷静に、手元にある「養育費の約束が書かれた書類」を探してみてください。離婚時に交わした公正証書、家庭裁判所での調停調書、審判書などが該当します。

この書類があるかどうかで、次に取るべき行動が変わってきます。どれが該当するかわからない場合は、離婚時の書類一式をざっと確認してみましょう。30分もあれば、何かしらの手がかりが見つかるかもしれません。

年収350万円の元夫からの養育費が滞ったら?

例えば、3歳のお子さんと二人暮らしで、元夫は年収350万円、毎月5万円の養育費を約束していたとします。しかしある月から突然、支払いが滞ってしまいました。連絡しても返信がなく、毎日不安な気持ちで過ごしている…こんな状況は決して珍しくありません。

約束の書類(公正証書など)があれば、家庭裁判所を通じて相手に支払いを促す手続きを始めることができます。口約束だけだったとしても、諦める必要はありません。まずは状況を整理し、具体的な行動に移すことが大切です。

家庭裁判所での請求手続き3ステップ

養育費の未払いに対応するため、家庭裁判所を利用する具体的な手順を3つのステップで見ていきましょう。

ステップ1:家庭裁判所に「履行勧告」を申し出る

「履行勧告」とは、家庭裁判所で決めた養育費の約束(調停や審判、和解など)を相手が守らない場合に、家庭裁判所が「約束を守ってください」と相手に伝えてくれる制度です。費用はかからず、比較的簡単に申し出ができます。

あなたの住所地、または相手の住所地を管轄する家庭裁判所の窓口へ行く

「養育費の履行勧告を申し出たい」と伝え、申出書を窓口でもらって記入する

養育費の約束が書かれた書類(調停調書・審判書・公正証書など)、印鑑、身分証明書を提出する

ポイント

申出書を記入する際、未払いになっている期間と金額を正確に伝えられるよう、事前にメモを準備しておくとスムーズです。

ステップ2:それでも払われない場合は「履行命令」を申し立てる

履行勧告をしても相手が支払いに応じない場合、次に「履行命令」という手続きを申し立てることができます。家庭裁判所が相手に対し、「いつまでに養育費を支払いなさい」と具体的な命令を出すものです。

手続き先はステップ1と同じ家庭裁判所です。「履行勧告をしても支払いがなかったため、履行命令を申し立てたい」と窓口で伝え、申立書(窓口でもらえます)を記入します。養育費の約束が書かれた書類・印鑑・身分証明書を持参してください。

履行命令に従わない場合、相手には10万円以下の「過料(罰金のようなもの)」が科される可能性があります。過料は国に納められるもので、直接あなたの手元に養育費が入るわけではありませんが、相手に強いプレッシャーを与える効果が期待できます。

ステップ3:最終手段「強制執行」を検討する

履行勧告や履行命令でも養育費が支払われない場合、最終的な手段として「強制執行」を検討することになります。相手の給料や預貯金などの財産を差し押さえて、未払い分の養育費を強制的に回収する手続きです。

「強制執行って、なんだか難しそう…」
AYA
強制執行は、養育費の取り決めを証明する公的な書類(債務名義)がある場合に、国があなたの代わりに相手の財産から養育費を回収してくれる手続きです。少し複雑に感じるかもしれませんが、弁護士などの専門家がサポートしてくれるので安心してください。

強制執行には、養育費の約束が書かれた書類に加えて、以下の書類が必要です。具体的な費用はケースによって異なりますが、数千円〜数万円程度かかる場合があります。

必要書類 入手先 費用目安
債務名義(公正証書・調停調書・審判書など) 離婚時に作成済みのもの 手元にあれば不要
執行文付与の申立書 裁判所 数百円
送達証明書 裁判所 数百円
相手の住民票 役所 数百円
相手の勤務先・銀行口座情報 自分で調査 or 弁護士に依頼 ケースによる

なお、家庭裁判所の手続きを進める前に相手へ連絡する際は、感情的にならず冷静に事実だけを伝えることが大切です。

養育費の事を無料で相談できる法律事務所

【例文】

件名:養育費の件について

〇〇さん

いつもお世話になっております。

〇月分の養育費について、まだお支払いいただけていないようです。〇月〇日までに、お支払いをお願いできますでしょうか。

もし何か事情があるようでしたら、一度お話しする時間をいただけると幸いです。

お忙しいところ恐縮ですが、ご確認いただけますようお願いいたします。

〇〇

失敗しないために知っておきたい3つの落とし穴

落とし穴1:口約束だけで終わらせてしまった

「離婚のとき、口約束で養育費を決めてしまったけど、やっぱり支払われなくなった…」これはよくある失敗です。口約束でも法的な効力がないわけではありませんが、いざというときに証明が難しくなります。

【対策】今からでも遅くありません。まずは相手と話し合い、養育費の金額や支払い方法を書面(公正証書が最も望ましい)に残すことを目指しましょう。話し合いが難しい場合は、家庭裁判所の調停を利用することも可能です。

落とし穴2:感情的なLINEを送ってしまった

養育費が支払われないと、不安や怒りから感情的なメッセージを送ってしまいがちです。しかし、感情的なやり取りは相手との関係をさらに悪化させ、解決を遠ざけてしまう可能性があります。

【対策】上記の例文のように、事実を淡々と伝えることを心がけましょう。メッセージを書き終えたら一度時間を置いて読み返し、冷静な表現になっているか確認する習慣をつけると安心です。

落とし穴3:一人で抱え込んでしまった

養育費の問題はデリケートなため、誰にも相談できずに一人で悩んでしまう方も少なくありません。しかし、一人で解決しようとすると、心身ともに疲弊してしまいます。

【対策】弁護士や司法書士、自治体の無料相談窓口など、頼れる専門家はたくさんいます。友人や家族に話を聞いてもらうだけでも、気持ちが楽になることがあります。一人で抱え込まず、積極的に周りを頼ってください。

注意

履行勧告・履行命令はあくまで「促す・命じる」手続きです。相手が従わない場合でも養育費が自動的に振り込まれるわけではありません。確実に回収するには、強制執行への移行を視野に入れておきましょう。

次の一歩に役立つページをまとめました

この記事を読んで、養育費の請求について少しでも理解が深まったでしょうか。あなたの状況に合わせて、次に進むべきページをご案内します。

  • 養育費の強制執行手続きについて:強制執行についてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事で具体的な手続きの流れや注意点を解説しています。
  • 養育費の取り決め方と公正証書の活用:まだ養育費の取り決めをしていない方や、口約束で不安な方は、公正証書の作成方法について詳しく解説した記事をご覧ください。
  • 養育費の増額・減額請求について:状況が変わって養育費の金額を見直したい場合は、こちらの記事が参考になります。
  • 裁判所: 養育費の請求調停・審判手続:家庭裁判所の公式情報で、より詳細な手続きを確認できます。
  • 法テラス: 養育費の不払いがあった場合の対処法:法テラスのウェブサイトで、養育費の不払いに関する一般的な対処法を確認できます。

一人で悩まず、一歩ずつ前に進んでいきましょう。あなたとお子さんの未来を応援しています。