未払いと回収

給与以外も差押えできる!預貯金・生命保険・不動産の手続きと限界

「養育費が支払われなくて困っているけれど、どうしたらいいか分からない…」「給料以外の財産を差し押さえるって聞くけど、私にもできるの?」

そんな不安を抱えているなら、この記事がきっとお役に立ちます。読み終えるころには、給与以外の財産(預貯金・生命保険・不動産など)を差し押さえる具体的な方法と、2026年4月から始まる新しい制度について、法律の知識がなくても理解できるはずです。今日からすぐ取れる行動まで、一緒に整理していきましょう。

まず30分、手元の書類を確認しよう

最初に、手元にある書類を30分だけ確認してみましょう。離婚協議書・調停調書・公正証書など、養育費について取り決めた書類が対象です。

「養育費を支払う」という内容が書かれているか、そして「強制執行認諾文言」(支払いが滞ったら差し押さえを認める旨)が入っているかを確認してください。この確認が、次のステップへ進むための第一歩になります。

こんなケース、あなたにも当てはまりませんか?

例えば、あなたのお子さんが3歳で、元夫が年収350万円の会社員、あなたの年収が150万円だとします。離婚時に「毎月3万円の養育費を支払う」と約束したものの、最近になって支払いが滞るようになってしまいました。

給与の差し押さえ以外にも財産があるかもしれない——そう考えるケースは珍しくありません。預貯金・生命保険・不動産といった財産を差し押さえることが、未払い養育費を回収する有効な手段になることがあります。「どこにどんな財産があるか分からない」という不安も大きいと思いますが、法的な手続きで調べる方法があります。

差し押さえを実現する3つのステップ

ステップ1:養育費の「債務名義(公的な証明書類)」を確認・取得する

養育費の差し押さえを行うには、まず「債務名義」が必要です。養育費の支払い義務があることを法的に証明する書類のことです。

確認する書類:公正証書(「強制執行認諾文言」があるか確認)、調停調書、和解調書、判決書

もし書類がない場合:家庭裁判所に「養育費請求調停」を申し立て、調停調書を作成してもらう必要があります。費用は収入印紙代(数千円程度)と郵便切手代です。

手元の書類に「強制執行認諾文言」があるか確認し、なければ家庭裁判所へ「養育費請求調停」を申し立てましょう。

ステップ2:相手の財産を特定する

差し押さえの対象となる財産(預貯金・生命保険・不動産など)を特定する必要があります。裁判所の手続きを通じて、法的に調べることができます。

どこへ行くか:裁判所
何を持っていくか:ステップ1で取得した債務名義、身分証明書、印鑑など

ポイント

財産開示手続:申立書(裁判所で入手)・収入印紙代(数千円)・郵便切手代。相手に財産状況を明らかにさせる手続きです。
第三者からの情報取得手続:申立書(裁判所で入手)・収入印紙代(数千円)・郵便切手代。金融機関や市町村に相手の預貯金口座や給与情報を照会する手続きです。

裁判所の窓口で「財産開示手続」または「第三者からの情報取得手続」について相談したい旨を伝えてください。

ステップ3:差し押さえの申し立てを行う

相手の財産が特定できたら、いよいよ差し押さえの申し立てを裁判所に行います。

どこへ行くか:裁判所
何を持っていくか:ステップ1の書類・ステップ2で特定した財産情報・申立書(裁判所で入手)・収入印紙代(数千円)・郵便切手代
どう伝えるか:「養育費の強制執行(差し押さえ)の申し立て」をしたい旨を窓口で伝えます。

相手への連絡は、このまま使えるLINE・メール例文で

感情的にならず、冷静に事実を伝えることが大切です。以下は、そのままコピーして使える例文です。

例文

「〇〇さん、お疲れ様です。養育費の件でご連絡しました。〇月分の養育費がまだ振り込まれていないようです。お忙しいとは思いますが、ご確認いただけますでしょうか。もし何か事情があれば、一度お話できませんか。」

返信がない場合や具体的な対応が見られない場合は、次のステップを検討していることを伝えることもできます。

例文

「〇〇さん、先日お送りした養育費の件ですが、まだご対応いただけていないようです。このままでは、法的な手続きを検討せざるを得ません。お互いのためにも、早めにご連絡いただけると助かります。」

後悔しないために知っておきたい3つの失敗例

失敗例1:口約束だけで終わらせてしまった

「養育費は払うから」という口約束だけで済ませてしまい、後から「言った・言わない」のトラブルになるケースは非常に多いです。口約束には法的な効力がなく、債務名義がないため差し押さえ手続きができません。

対策:養育費の取り決めは、必ず公正証書や調停調書など書面で残してください。公正証書には「強制執行認諾文言」を入れてもらうことで、裁判を経ずに差し押さえ手続きへ進めます。

失敗例2:感情的なLINE・メールを送ってしまった

未払いが続くと、つい感情的になって相手を責めるメッセージを送りがちです。しかしこれは関係をさらに悪化させ、話し合いの機会を失うことにもつながります。また、感情的なメッセージは後々裁判になった際に不利な証拠として使われる可能性もあります。

対策:連絡は常に冷静に、事実のみを伝えるよう心がけましょう。どうしても感情的になってしまうときは、一度メッセージを下書き保存し、時間を置いてから読み返してみてください。

失敗例3:財産が特定できないと諦めてしまった

「相手がどこに財産を持っているか分からないから、もう無理だ…」と諦めてしまう方もいますが、それは非常にもったいないことです。「財産開示手続」や「第三者からの情報取得手続」を利用すれば、法的に相手の財産を調べることができます。

対策:諦めずに、まずは裁判所の窓口や弁護士に相談してみましょう。専門家のアドバイスを受けながら手続きを進めることで、養育費の回収につながる可能性があります。

注意

「どうせ相手には財産がない」と思い込んで諦めることは禁物です。財産開示手続に正当な理由なく応じなかった場合、相手には刑事罰(6か月以下の懲役または50万円以下の罰金)が科される可能性があります。制度をしっかり活用しましょう。

養育費の事を無料で相談できる法律事務所

次に読みたい!関連記事まとめ

この記事で、養育費の未払いに対する差し押さえについて、少しは不安が解消されたでしょうか。具体的な手続きは複雑に感じるかもしれませんが、あなたの状況に合わせて以下の記事でさらに理解を深めてみてください。

ポイント

養育費の取決めと公正証書の作成:まだ養育費の取り決めが書面になっていない方は、まずこちらを読んで準備を始めましょう。
養育費の強制執行の全体像:差し押さえ以外の方法も含め、養育費の回収方法全体を知りたい方はこちらへ。
財産開示手続の利用方法:相手の財産がどこにあるか全く分からない方は、この手続きを詳しく解説した記事をご覧ください。

AYA
「今の段階で全部を決めなくても大丈夫です。まずは、今日できる1つを終わらせましょう。」